三階建てインターホンの後悔しない選び方｜聞こえない悩みを解決

三階建ての住宅は、広々とした空間が魅力ですが、一方で上下階の移動が多いため、日々の生活で不便を感じる場面も少なくありません。

特に多くのご家庭で悩みとなるのが「インターホン」の問題です。「ピンポーン」という来客を知らせる音が、別の階にいると全く聞こえないという経験はありませんか。

宅配便の配達に気づかず再配達を依頼したり、大切な来客を玄関先で待たせてしまったりと、聞こえないだけで思わぬストレスやトラブルにつながることがあります。

この記事では、三階建て住宅におけるインターホンの「聞こえない」という悩みを根本から解決し、ご家庭のライフスタイルに合った最適な一台を見つけるための具体的な方法を、専門的な視点から詳しく解説していきます。

三階建てインターホンで後悔しないための基礎知識

ここでは、3階建て住宅でインターホンの音が聞こえにくくなる理由や、それに対する基本的な解決策について詳しく見ていきましょう。

インターホンが3階では聞こえない問題

三階建ての住宅において、インターホンの呼び出し音が聞こえないという問題は、多くの家庭が直面する共通の悩みです。

その原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていると考えられます。

まず、物理的な距離が挙げられます。1階の玄関から3階の部屋までは直線距離でも長く、間にいくつもの壁や床が存在するため、音が減衰してしまうのは避けられません。

近年の住宅は気密性や断熱性が高まっており、結果として遮音性も向上しています。これは快適な住環境にはプラスに働きますが、裏を返せば家の中での音の伝達を妨げる要因にもなります。

さらに、テレビの音や掃除機、キッチンでの換気扇の稼働音といった日々の生活音も、インターホンの呼び出し音をかき消してしまいます。

これらの要因が重なることで、「鳴っていたことすら知らなかった」という状況が生まれるわけです。

来客に気づかなければ、居留守を使っていると誤解されたり、防犯面での初動が遅れたりするリスクも考えられます。

狭小一軒家におけるインターホンの課題

都市部でよく見られる狭小地の三階建て一軒家は、限られた土地を有効活用できる一方で、インターホンの設置に関しては特有の課題を抱えています。

一般的な住宅よりも各階の面積がコンパクトであるため、音が響きやすいと思われがちですが、実際はその逆のケースも少なくありません。

階段が急であったり、各階が小さな部屋で区切られていたりすると、ドアを一枚閉めるだけで音が大きく遮断されてしまいます。

また、狭小住宅では生活動線が縦に長くなるため、家族がそれぞれの階で過ごす時間が分散しがちです。

来客のたびに他の階へ移動するのは大きな負担であり、特に小さなお子様がいるご家庭や、階段の上り下りが大変な方にとっては切実な問題と言えるでしょう。

このような環境だからこそ、家のどこにいても来客に応対できるシステムの構築が求められます。

親機をインターホン2階に置く場合の注意点

三階建て住宅の間取りとして、家族が集まるリビングを2階に設けるケースは非常に多く、それに伴いインターホンの親機も2階に設置するのが一般的です。

日中の多くの時間を過ごす場所に親機があれば安心と考えがちですが、これにはいくつかの注意点が存在します。確かにリビングにいれば来客にすぐ気づけますが、生活の全てが2階で完結するわけではありません。

インターホンの音量を最大に設定しても、前述の通り、住宅の遮音性や他の生活音によってかき消されてしまうのです。

結果として、在宅しているにもかかわらず来客対応ができず、不便さを感じる場面が出てきます。

2階に親機を一台設置するだけでは、三階建て住宅の全ての生活シーンをカバーするのは難しいということを認識しておくことが大切です。

便利なワイヤレス子機という選択肢

インターホンの「聞こえない」問題を解決する最も手軽な方法の一つが、ワイヤレス子機の導入です。

ワイヤレス子機は、その名の通り配線が不要な持ち運び可能な室内機のことで、固定された親機とは別に、家の好きな場所で来客応対ができるようになります。

これにより、これまで音が届きにくかった1階や3階の部屋はもちろん、庭仕事中や入浴中など、親機から離れた場所にいても手元で来客を確認し、通話することが可能になります。

利便性と注意点

ワイヤレス子機の最大のメリットは、この圧倒的な利便性です。家事などで家の中を移動することが多い方にとっては、まさに必需品と言えるでしょう。

ポケットに入るコンパクトなモデルも多く、常に身につけておくこともできます。

一方で、便利なワイヤレス子機にも注意すべき点があります。まず、充電式のものがほとんどであるため、定期的な充電が必要です。

いざという時にバッテリーが切れていては意味がないため、充電器を置く定位置を決めておくといった工夫が求められます。

また、持ち運びできるがゆえに、どこに置いたか分からなくなってしまう可能性も考慮しておきましょう。

これらの点を理解した上で導入すれば、三階建て住宅の快適性を大きく向上させる強力なツールとなります。

インターホンを2箇所で使う複数回線とは

ワイヤレス子機の持ち運びや充電管理が少し面倒だと感じる方には、各階によく利用する部屋があるのであれば、モニター親機を増設するという方法も有効です。

これは、リビングに設置したメインの親機に加えて、1階や3階の部屋にもう一台、壁掛け式のモニター親機を追加で設置する考え方です。

こうすると、家の主要な生活スペースのどこにいても、固定されたモニターで来客応対が可能になります。

この方法は、特に各階に定位置がある場合に大きなメリットを発揮します。

例えば、2階のリビングと3階の書斎、1階の寝室など、それぞれの場所で確実に呼び出し音を聞き、モニターで相手の顔を確認してから応対できます。

また、機種によっては増設した親機同士で内線通話ができるものもあります。

「ご飯ができたよ」と階下の家族を呼んだり、簡単な連絡を取り合ったりと、インターホンを家庭内のコミュニケーションツールとしても活用できるのです。

ワイヤレス子機のような自由度はありませんが、安定した通信と確実な応答性を求める場合には、非常に優れた選択肢と言えます。

失敗しない三階建てインターホンの導入ガイド

このセクションでは、実際にインターホンを導入・交換する際の具体的な選び方から、設置方法、費用に至るまで、実践的な情報を解説します。

まずは知りたいインターホンの種類

インターホンと一口に言っても、その電源の取り方や機能によっていくつかの種類に分かれます。

ご自宅の状況や求める機能に合わせて最適なものを選ぶためには、まずこれらの違いを理解しておくことが大切です。主な種類とそれぞれの特徴を比較してみましょう。

種類	電源供給	メリット	デメリット	工事の要否
電源直結式	壁内の配線から直接供給	・配線が露出せず見た目が良い ・電池交換の手間がない	・設置や交換に電気工事士の資格が必要 ・設置場所の変更が難しい	必要
電源コード式	コンセントからプラグで供給	・資格不要でDIYでの設置が可能 ・コンセントがあれば場所を移動できる	・電源コードが露出する ・コンセントを一つ占有する	不要
乾電池式	玄関子機を乾電池で駆動	・配線工事が一切不要で最も手軽 ・賃貸住宅でも設置しやすい	・定期的な電池交換が必要 ・電池切れに気づきにくい	不要
スマホ連動型	機種による	・外出先でも映像確認・応対が可能 ・録画や宅配ボックス連携など機能が豊富	・Wi-Fi環境が必須 ・通信の安定性が環境に依存する	機種による

このように、設置の手軽さで言えば電源コード式や乾電池式が優れていますが、長期的な安定性や見た目のスッキリさを求めるなら電源直結式が適しています。

そして近年では、これらの基本的な機能に加え、スマートフォンと連携する高機能なモデルが主流になりつつあります。

外出先からでもリアルタイムで来客対応ができるなど、これまでのインターホンの概念を覆す便利な機能が満載です。

状況に合わせたインターホンの選び方

数あるインターホンの中から最適な一台を選ぶためには、ご自身の住環境やライフスタイルを客観的に見つめ直すことが鍵となります。

まず考慮すべきは、現在のお住まいに設置されているインターホンの種類です。

既存のものが電源直結式であれば、同じタイプに交換するのが最もスムーズですが、配線のない場所に増設したい場合は、電源コード式や乾電池式が候補となります。

次に、家族構成や生活パターンを考えてみましょう。例えば、日中にお子様だけで留守番をする時間があるご家庭なら、訪問者の顔をはっきりと確認でき、録画機能が付いているモデルが安心です。

また、インターネット通販を頻繁に利用し、宅配便の受け取りが多い方であれば、スマートフォンと連携して外出先からでも応対できる機種や、宅配業者と会話して置き配を指示できる機能が非常に役立ちます。

さらに、将来的な拡張性も視野に入れると良いでしょう。

現在は不要でも、将来的にセンサーカメラや火災報知器と連動させたいと考えるかもしれません。初めから拡張性の高いシリーズを選んでおけば、後から必要な機器を追加していくことが容易です。

これらの点を総合的に判断し、ご家庭にとって本当に必要な機能を見極めることが、後悔しないインターホン選びにつながります。

見落とせない防犯カメラとしての機能

現代のテレビドアホンは、単に来客を知らせるだけの装置ではありません。家庭の安全を守る「防犯カメラ」としての役割が、非常に大きくなっています。

空き巣や不審者は、犯行前に下見をすることが多いと言われており、録画機能付きのインターホンは、その存在自体が犯罪の抑止力として機能します。

インターホンを選ぶ際には、これらの防犯性能にも注目することが大切です。

広角レンズの重要性

モニターで訪問者の顔を確認する際、カメラの画角が狭いと、複数人で来た場合に全員が映らなかったり、意図的にカメラから外れて立つ不審者を見逃したりする可能性があります。

レンズの画角が広い広角タイプであれば、玄関周りを広範囲に映し出すことができるため、訪問者の全体像や周囲の状況までしっかりと把握でき、安全性が高まります。

夜間でも安心なLEDライト

夜間の訪問者や、暗い時間帯に玄関周りで物音がした場合でも、訪問者の顔をはっきりと確認できる機能は不可欠です。

多くの機種にはLEDライトが搭載されており、呼び出しボタンが押されると自動で点灯し、夜間でもカラーで鮮明に来訪者を映し出します。これにより、夜間のセキュリティが格段に向上します。

留守中の来客を記録する録画機能

留守中に誰が訪ねてきたかを後から確認できる録画機能は、今やテレビドアホンの標準機能と言えます。

ボタンが押されると自動で録画を開始し、SDカードなどに映像を保存します。これにより、万が一トラブルが発生した際の証拠としても活用できるため、防犯対策として非常に有効です。

後付けや工事不要でホームセンターで探す

「インターホンを増設したいけれど、大掛かりな工事は避けたい」と考える方も多いでしょう。

そのような場合には、工事不要で後付けできるタイプの製品が適最適です。電源コード式の親機や、完全にワイヤレスで動作する乾電池式の子機は、専門的な知識がなくても自分で設置できる手軽さが魅力です。

これらの製品は、ホームセンターや家電量販店、オンラインストアで手軽に入手できます。

ホームセンターなどで購入するメリットは、実際に製品を手に取って、大きさや質感、モニターの見やすさなどを確認できる点にあります。

また、専門の店員に相談しながら、自宅の状況に合った製品を選ぶことも可能です。

さらに、既存のインターホンはそのままに、呼び出し音だけを別の部屋に飛ばしたいというニーズに応える便利なグッズもあります。

インターホンのスピーカー部分に音を感知するセンサーを取り付け、その音に反応して離れた場所の受信機を鳴らす「音感センサーチャイム」などがその一例です。

配線工事を一切行うことなく、低コストで「聞こえない」問題を解決できるため、賃貸住宅にお住まいの方や、手軽に対策をしたい方には有力な選択肢となります。

増設費用と取り付け工事費の目安

インターホンの増設や交換にかかる費用は、どのタイプの製品を選び、どのように設置するかによって大きく変動します。

費用を考える際には、「本体価格」と「工事費」の二つを分けて捉えることが大切です。

DIYの場合（本体代のみ）

電源コード式や乾電池式のインターホンを自分で設置する場合、必要となる費用は基本的に製品本体の購入代金のみです。

製品の価格は機能によって様々ですが、シンプルな音声のみのタイプであれば数千円から、モニター付きの基本的なモデルであれば1万円台から見つけることができます。

スマホ連動などの高機能モデルになると、3万円から5万円以上が相場となります。自分で作業を行うため、工事費は一切かかりません。

業者に依頼する場合（本体代＋工事費）

電源直結式のインターホンの交換や、新たに配線工事が必要な増設を行う場合は、電気工事士の資格を持つ専門業者への依頼が必須です。

この場合、本体価格に加えて作業費用が発生します。業者による取り付け工事費の相場は、単純な機器の交換であれば5,000円から15,000円程度です。

しかし、壁の中に新たに配線を通すなど、追加の工事が必要になる場合は、作業内容に応じて20,000円から30,000円以上かかることもあります。

正確な費用を知るためには、複数の業者から見積もりを取り、作業内容と費用を比較検討することをお勧めします。

最適な三階建てインターホンを選ぼう

この記事では、三階建て住宅におけるインターホンの様々な課題と、それに対応するための具体的な解決策について解説しました。

ご家庭の環境やライフスタイルはそれぞれ異なるため、「これが唯一の正解」というものはありません。

しかし、この記事で紹介したポイントを踏まえ、一つひとつの選択肢を丁寧に検討していくことで、必ずやご家庭にぴったりの一台が見つかるはずです。

日々の暮らしのストレスを軽減し、家族全員が安心して快適に過ごせる住環境を実現するために、インターホンの見直しをぜひ検討してみてください。